神様の誕生日を皆で祝う、豪勢な台湾のお祭り「らおじん」って何?~屏東県萬丹水仙宮~

ディープな台湾の祭り、繞境の世界をのぞいてみよう

台湾に何度も来ている人であれば、爆竹をバチバチ鳴らしながら、おみこしを担いで、子供から女性、お年寄りまで大勢の人が街中を歩いている様子を、見たことがあるのではないでしょうか?

日本の夏祭りとは似つかないかわった音楽に、龍の演技や、顔に歌舞伎のようなペイントを施した人たち。

実は、これは台湾の廟が主催する、廟會の「繞境(らお じん)」というイベント。

今回は、いつもの記事と趣旨を変えて、屏東にある水仙宮をもとにQ&A形式で繞境の疑問を探っていきます!

水仙宮とは?

南台湾の屏東萬丹にある水仙宮。

昔この近くは流れの激しい川があったことから、海の神様「水仙尊王」を主にまつっています。

その他にも、今回のお祭りの主役である媽祖や觀音佛祖、五府千歲、福德正神、註生娘娘などがまつられています。

医療の発達していなかった当時の台湾では、信仰と病気は密接な関係にあり、重い病気をかかえた人は水仙宮にやってきて、熱心にお祈りをしました。

医療が発達した現代では、住民の心のより所となっています。

媽祖とは?

一言で言うと「海洋を守る女神」

航海・漁業の守護神として中国の南部や台湾で信仰されている神様。

別名で天妃娘娘、天上聖母、媽祖菩薩とも呼ばれています。

もとは林默娘という少女が、海で行方不明になった父を探しに行く旅にでて、そのあと仙人に導かれて神様になったと言われています。

神様になったあと、度々人々を海の事故から救ったと言い伝えられており、今でも多くの人が媽祖を信仰しています。特に媽祖の誕生日は盛大に祝われます。

媽祖の信仰は、華僑によって広められ、世界中に媽祖をまつる廟が建てられています。

廟會とは?

中華文化のひとつで、廟で定期的に行われる集まりやお祭りのこと。

中でも多くの廟関係者が集まり、音楽を演奏したり時には爆竹を鳴らしながら、街を練り歩き、街中の廟をめぐる行事を「繞境(らお じん)」と呼びます。

北部・中部・南部とそれぞれ内容が異なり、地域の個性が見られます。

特に、台中大甲で9日間にわたり行われる「大甲媽祖繞境」は世界三大宗教行事として、ユネスコの「世界無形文化遺産」にも登録されています。

なぜ音楽隊がいるの?

日本ではあまりない独特なリズムは、繞境に必要不可欠な要素のひとつ。

演奏では主に太鼓や嗩吶(チャルメラ)、ドラム、シンバルなどの楽器が使われます。

音楽隊は繞境のリズム役として一躍かっており、暑い中一日中歩き回るみんなを元気にするために、繞境の間中ほぼ休みなく、演奏し続けます。

なぜ爆竹をならすの?

繞境を見たことがある人ならば、大きなバババババ!!!という爆竹の音に驚いた人もいるはず。

この爆竹も繞境では、重要な意味をもつアイテムのひとつです。

というのも、一般の人は神様と意思疎通を測ることはできません。

そのため、爆竹を使って神様を迎え入れるなど、人と神様の間のコミュニケーションツールとして使われています。

なぜ龍の演技をするの?

もともと龍は台湾の人々にとって、縁起のよい生き物で、幸せや成功をもたらしてくれると考えられています。

そして、媽祖の誕生日のお祝いによく出現するそうです。

龍を使った演技には、雨ごいや子供を授かるためと色んな意味がありますが、繞境では幸せが訪れるように、と願いを込めて披露されます。

顔にペイントをした人は誰?

顔にそれぞれカラフルなペイントをしている人たちは「八家将」と呼ばれ、神様を守り、人間界の悪霊退治の役目をになっていると言われています。

その歴史は300年以上あると伝えられており、春夏秋冬の4人の神様と4人の将軍とそれぞれキャラクターが決まっています。

キャラクターごとにペイントのデザインが決まっており、特徴や役割、出身を表しています。

悪霊退治の役割をもっていることから、アニメ「鬼滅の刃」に似ている!と、台湾で話題になったそうです。

無料でご飯がもらえる?

繞境では無料のご飯「平安餐(ぴんあんつぁん)」がもらえることで有名です。

特に信者でなくても、平安餐をもらうことができます。内容は廟によって様々で豪華だったり、シンプルな麵線やビーフンだったりします。

平安餐は廟から一般の人々への感謝の証。
というのも、廟建設には約数万元~数億元と多額のお金が必要なため、信者から資金を集めて廟を作ります。

そのため、廟の建設・運営のために普段から支えてくれている信者や近所の人々に平安餐を提供し、幸せが訪れるように願います。

まとめ

今回は屏東にある水仙宮をもとに、廟會や繞境について説明しました!

普段台湾旅行をしているだけでは、なかなか触れることのないディープな部分。

少し理解が深まったことで、もっと台湾を楽しめるはずです!

今度繞境に遭遇したときは、じっくり観察してみてくださいね。

住所913屏東縣萬丹鄉大勇路105號
アクセス方法台湾鉄道「潮州」駅から、タクシーで15分
電話番号087050982
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